電波新聞拾い読み 1997年12月

「Win98」に搭載、PC上でDVDを駆動するソフト マイクロソフト東芝が共同開発

 東芝は、マイクロソフトが開発進めている「Windows98」に搭載され、パソコン上でDVDを駆動するために必要なソフトウエアをマイクロソフトと共同で開発した。
 このソフトウエアは、同社のパソコン上で開発および動作確認が行われたもので、12月15日(米国時間)でリリースされた「Windows98」のベータ3版から採用が始まっている。
 パソコン上で動画や音声を扱う機会が増えるのに従い、高品質の映像を楽しみたいというニーズはますます高まってきている。
 同社は、DVDの規格の標準化で大きな役割を演じており、マイクロソフトとWindows98に搭載されるDVD技術を共同開発することによって、Windows98の登場と同時にDVDの提供する高画質映像と高音質音声をパソコン上で手軽に楽しむことがこれで可能になる。
 Windows98は、DVD-ROMコントロール用の各種デバイス・ドライバー、UDFフォーマットのファイル・システム、DVDナビゲーションやプレヤー・アプリケーション、WDMベースのストリーミング・アーキテクチャー、高品質画像再生のためのダイレクトXなど、DVDのすべての機能をサポートしている。
 今回、同社はマイクロソフトと共同でDVDナビゲーションを開発。また、DVDデコーダーチップをコントロールするドライバーやプレヤーアプリケーションなど、DVDのすべての機能を引き出すソフトウエアについては、同社から提供している。
 さらに、同社独自開発の「Timepani-I」(シングルチップDVDシステムプロセッサー)を組み込んだDVDボードがマイクロソフトの開発過程で活用されている。

1997年12月18日

ソニーの井深 大氏 死去

 ソニーの創業者でファウンダー(創業者)・最高相談役の井深 大(いぶか・まさる)氏が12月19日午前3時38分、急性心不全のため東京都港区の自宅で死去した。89歳。栃木県出身。
 戦後間もない1945年、東京通信研究所を東京に設立、ラジオに取り付けるコンバーターなどの生産を始めた。翌年、経営陣に盛田昭夫氏(現ソニー・ファウンダー・名誉会長)を加えて株式会社に改組し、社名を東京通信工業(ソニーの前身)に改めた。戦後、同じく町工場からスタート、世界的大企業に躍進した本田技研工業とならび、戦後企業を代表する経営者といわれた。
 71年に、約21年務めた社長職を盛田氏に譲り、会長に就任。76年には代表権も手放した。90年には取締役を退き「ファウンダー名誉会長」となり、経営の一線から退いた。94年11月からファウンダー最高相談役。96年には勲一等旭日大綬賞受賞。92年文化勲章受章。

1997年12月20日

米マイクロソフト 司法省に手紙

 米マイクロソフトは17日、米司法省に対して、同社は「11日に米ワシントン連邦地裁が下した暫定命令に完全に従っている」とする見解を盛り込んだ手紙を送ったことを明らかにした。
 マイクロソフトはこの中で「当社は、コンピューターメーカーに対してパソコンにウインドウズ95を組み込む際にインターネット・エクスプローラを、同時に組み込む必要はないと助言している」と述べた。
 司法省はパソコン画面上からIEのアイコンを削除するよう提案したが、同社は正しい判断によるものではないなどとして拒否した。

1997年12月20日

日本イリジウムに第一種電気通信事業認可

 郵政省は19日、日本イリジウムに対し第一種電気通信事業認可を22日付で行うと発表した。
 日本イリジウムは、98年9月23日からイリジウム低軌道周回衛星(LEO)を利用して衛星移動体通信サービスを実施の計画。3年目で単年度黒字、4-5年目で累積黒字化を予定。3年目での売上は約480億円を想定。

1997年12月20日

NTT PHSの64Kbpsデータ伝送プロトコルを開発

 NTTは、PHSの64Kbps高速データ伝送プロトコルを開発したと19日発表した。  今回開発したプロトコルは、64Kbpsデータ通信を実現するためにARIB(電波産業会で策定のPHS無線インターフェイス標準規格くを受けたもので、PIAF(PHSインターネット・アクセス・フォーラム)のベースとなったNTT開発のデータ制御手段MODSARQを改良したもの。58.4Kbpsの実効伝送速度を実現、モバイルコンピューティング時代の無線制御手段として力を発揮することが期待されている。
 現在はPIAFS規格に沿った32Kbps伝送サービス(実効29.2Kbps)が商用化されており、これを2倍の速度にまでレベルアップしたのが今回開発の64Kbps高速データ伝送プロトコル。
 一つの方法は、現在デファクト標準の32Kbpsのソフト、ハード資産を有効活用できるようにしたもの。PIAFSと同一の制御手段でクロック周波数をだけを2倍にしている。
 2つ目の方法は、よりモバイル環境を意識したもので、セル端などでの無線品質の低下個所の伝送速度改善を図ったもの。この場合は最高情報伝送速度は57.6Kbpsとわずかに落ちる。
 この64Kbps対応のPHSでISDNとの整合性が向上、さらに64Kbps対応端末2台を使い、マルチリンク・プロトコルを適用すれば128Kbps伝送も可能となる。PHSを用いたOSNエコノミーのワイヤレスアクセス系の構築も実現できる。

1997年12月20日

郵政省 国際公専公接続を解禁

 郵政省は22日、国際専用線の両端と公衆電話網を接続する「国際公専公接続」を同日から解禁、自由化にあたってのルールなどを盛り込んだ方針を発表した。
 国際公専公はコストの安い専用線を利用することで、既存の国際電話より割安な料金で事業が展開できる。自由化方針は、料金については競争促進の観点から、通信量に応じて料金を配分する制度などは適用せず、事業者間の自由意思に任せるとした。
 発着信の関係が親子会社などの場合、その関係を利用して優先的に着信を受けさせる行為が目立つときは、公正競争を阻害するとして文書で是正を指導する。
 一方、国際通信の一層の自由化のため、回線設備を保有する国際第一種電気通信事業者に100カ国以上の直通回線確保を義務付ける規制は、来年6月までに廃止することも盛り込んだ。

1997年12月23日

デジタルカメラ記録フォーマット統一へ 「CIFFフォーラム」20社が設立

 キャノン、松下電器などデジタルカメラメーカー20社は24日、デジタルカメラ用記録フォーマット統一のため「CIFFフォーラム」を設立したと発表。12月19日に設立総会を開催し、合意に達したもの。
 フォーラムのメンバーはキャノン、松下電器のほか旭光学工業、イメージリング、オリンパス光学工業、カシオ計算機、京セラ、コニカ、三洋電機、セイコーエプソン、ニコン、ノーリツ後期、ビビタージャパン、九州松下電器、松下寿電子工業、三菱電機、ミノルタ、ユーリードシステムなどの合計20社。
 CIFF(カメライメージ・ファイル・フォーマット)とは、静止画像データ圧縮方式として国際的な標準であるJPEGをサポートし、既存アプリケーションソフトの適合性、将来にわたる互換性、技術進化への適応性に優れたフォーマットと言われる。
 CIFFフォーラムは、記録フォーマットを統一し、カメラ間の互換性を確保する一方で、各種のプリントラボ・サービスやプリンターなどコンピューター周辺機器、各種アプリケーションの互換性を実現するのが目的としている。

1997年12月25日

松下通信工業 タクシー配車用GPS-AVMシステム

 松下通信工業は、24日からタクシー配車用GPS-AVMシステム(NAPIS E)の樹脂中を開始した。概算予定価格は約1,000万円(車両30台規模のシステムの場合)。
 同システムは「GPSシステム」と「AVMシステム」の独自のデータ収集方式および要素技術の応用により、パソコン上の地図・地区画面で営業車両および移動局操作器の申告による状態などの稼働状況を把握できる。
 主に
  1. 保有車両台数30台程度を対象として操作性重視の厳選機能
  2. センター操作説明は画面のマウスヘルプ機能でワンタッチ解説
  3. マウスでクリックするだけの簡単操作を実現
  4. 一万分の一-十六万分の一の5段階の地図縮尺での表示が可能なわかりやすい高精細地図表示
  5. 地区待機・状態など、8カ所まで移動局操作器のテンキー操作で申告可能
、などの特徴を持つ。
 また、車両の位置も表示する地図画面に、待機や休憩などの状態も表示、道路地図で知りたい場所を自在に表示、さらに、データ情報収集任意発呼とポーリングの併用で効率よく収集、車載装置はコンパクトでGPS受信機内蔵一体型液晶表示付き操作器など従来のシステムよりアップした。

1997年12月25日

カシオ 本社移転

 カシオ計算機は、年明け1月5日から東京・渋谷区初台に本社を移転する。
 同社は1974年5月以来、新宿区・新宿住友ビルに本社を置き企業活動を行ってきたが、事業拡大に伴う社員数の増加により、オフィスのフロア面積が不足し、周辺のビルにも拠点の分散が進んでいた。このため、各部門の意志疎通と連携業務を効率化し、経営体質の強化を図ることを目的に1994年に自社ビルの建設を決定。95年12月の着工後2年を経て、創業40周年にあたる今年、新社屋が完成した。
 新社屋には、新宿住友ビルならびに周辺のオフィスに勤務する社員1,150人が入る予定。年内に移転を完了し、1月5日から新社屋での業務を開始する。

1997年12月25日

NEC パソコン事業世界戦略強化へ

 NECは25日、パソコン事業の世界戦略強化のため、ブル社と強調し、米国パッカードベルNECへ3億ドルの資金援助(融資)を行うと発表した。これにより、米国市場においてビジネス市場の強化を図ると同時にIPO(株式公開)を実現することになった。
 NECは、96年7月にパッカードベルNECを発足させたことにより、96年のパソコン事業の世界シェアは、両社を合わせて10.2%(米調査会社調べ)となり、パソコン分野で世界のトップクラスの企業連合となった。すでにヨーロッパ市場においては、黒字決算となっており、コンパックやIBMを上回り第二位の地位を確保している。
 一方、米国市場においても、パソコンのコンスーマー市場では20.3%を占め、二位のコンパック、三位のシーゲートを抜きトップの座を獲得。しかし、8位にとどまっており、黒字転換を果たしていない。
 このため8月から企業への直接販売推進プログラム「NEC_NOW」への取り組みを開始し、ダイレクトセールスおよびサービスサポートなど企業市場へ向けての強化を図りつつある。しかし、米国でのパソコン市場において低価格化の傾向が激しく、収益力が十分あがっていないのも事実。このため、運転資金の一部を融資という形で今回実現させたもの。

1997年12月26日

松下電器 ノートパソコン来春輸出

 松下電器は来春からサブノートパソコンの輸出を開始する。国内で好評のB5ファイルサイズ「レッツノート」さらにA5ファイルサイズの「レッツノートミニ」の英語版をまず米国向けに来年4、5月頃に輸出する。
 海外市場にはこれまでA4サイズの耐衝撃・防塵・防滴性能に優れた堅牢型ノートパソコン「CF-25」を輸出してきたが、欧米でもモバイルコンピューティングニーズが高まってきているため、サブノートパソコンを市場投入することにした。

1997年12月26日

松下通信工業 デジタルMCA用シリアルインターフェイスボード

 松下通信工業は、25日からビジネスコミュニケーションシステム「デジタルMCA無線システム」でのデータ伝送システム構築が容易にできる「デジタルMCAシリアルインターフェイスボード」を発売した。価格はオープン価格。
 同製品はデジタルMCAの特徴である高速データ伝送機能を使って、ユーザーが自由にシステムを構築でき、デジタルMCA無線機の本体に内蔵して使用する専用ボードである。
 ユーザーで簡単にシステム構築ができる、ATコマンドとほぼ同様のインターフェイス、また、デジタルMCAの接続先ゾーンを指定する必要がない、個別モードデータ伝送、データ通信速度は約3000bps、そして、レベルコンバーターを接続すればRS-232C(DSUB25ピン)インターフェイスに変換、などの特徴を持つ。

1997年12月26日

日本マランツ 携帯電話機市場に本格参入

 日本マランツは、フィリップス社PCC(フィリップス・コンシューマー・コミュニケーションズ)グループとGSM方式デジタル携帯電話を共同開発、携帯電話機市場に本格参入した。98年2月から中国市場で販売を開始、その後生産力アップの状況に応じ東南アジア各国への導入を進める。生産はPCCシンガポール工場で行う。
 同社はPCCグループとの間で、相互の得意分野を生かした協力関係の構築を進めてきた。その第一弾がGSM方式デジタル携帯電話の開発。
 GSM方式携帯電話は、欧州はもとより中国を含むアジア各国で導入され、デジタル携帯電話では日米を除く大部分の国に入っている。同方式採用国は100カ国以上とされる。特に最近の需要では中国での成長が著しく、97年度は800万台の需要が見込まれ、年度末普及は1,200万台と予想される。2000年までには3,000万台の普及との見通し。この中国市場を第一弾に、同社はPCCと共同開発のGSM携帯電話機で携帯電話市場に本格参入することになった。
 今回開発の製品は、モデル名が「MP898」。"MARANTZ"ブランドで対応。GSM端末としては業界最小・最軽量水準を確保。そのうえ、音声認識ボイス・コール・システムの搭載で、名前を言うだけで自動ダイヤルする機能を持つ。中国語など他国語に対応した表示機能も所有している。

1997年12月27日

インターネット迷惑情報元の公開検討を 郵政省の研究会

 インターネットのホームページなどで他人の名誉を傷つけたり、中傷する事件が相次いでいることから、名誉毀損にあたる迷惑情報の発信元の氏名、住所などを公開できる方法を検討すべきだ、とする報告書を郵政省の研究会がまとめた。
 報告書は、インターネットのホームページなどについて「通信内容自体が公開されて秘密性がないような場合は、発信者の氏名、住所を通信の秘密として保護する理由は弱い」「仮に通信の秘密にあたるとしても発信者のプライバシーが他の利益に常に優先するとは考えられない」などと指摘。そのうえで「適正な手続きに従って発信者を特定する情報開示を可能性とする手段を検討すべき」と強調した。
 報告書は「電気通信サービスにおける情報流通に化する研究会」がまとめた。
 インターネットでは、今年6月に神戸市で起きた小学生殺害事件で容疑者の実名が流されたほか、デマ情報や嫌がらせの電子メールなどが問題となっている。
 インターネット情報の流通をめぐるルールは、憲法で保障されている「通信の秘密」や「表現の自由」に絡むため、郵政省は電子メールなどで報告書について幅広く意見を受け付けるとしている。
 報告書によると、インターネットのホームページは公開されているものの、発信者住所、氏名などについては憲法で保障されている「通信の秘密」に含まれるとの見方が一般的。
 このため、インターネット接続業者は、強制捜査を除き、外部からの発信者情報の問い合わせがあっても回答を断ってきたのが現状で、無責任な情報発信を助長する一因と指摘している。
 ただ、発信者情報の開示にあたっては、1)発信者の同意を得るべき、2)別の通信の秘密を侵害しない、などの条件を付けている。

1997年12月27日

トヨタ IDOを子会社化

 多額の累積損失を抱える日本移動通信(IDO)は26日、本年度中に資本金を約3倍の約687億円に増資することを明らかにした。その後、減資を行う方針で、筆頭株主のトヨタ自動車の持ち株比率は約27%から50%以上になり、事実上トヨタの子会社になる。増資は来年2月の臨時株主総会で決定する。
 IDOは、加入者獲得競争激化で携帯電話の販売費用などがかさみ、1996年度末の累積損失は178億円に達した。今後はアナログ式の設備の処理費用もかかるためさらに累積損失が膨らむ見通しになっている。
 現在のデジタル式携帯電話の次の規格となるCDMA方式への移行のため設備投資が必要なことから、いったんトヨタに第三者割当増資を行い、その後減資して累積損失を一層することにした。

1997年12月27日

郵政省 プラスチック光ファイバーの研究開発に来年度着手

 平成10年度予算において「プラスチック光ファイバの開発」が認められたことで、郵政省は、全光通信(トータル光通信)ネットワークの実現に不可欠な要素の一つとしてプラスチック光ファイバーの研究開発に平成10年度から本格着手することになった。同省一般会計から9,900万円が出資、通信・放送機構で研究開発を実施する。
 通信ネットワークの大容量化・高速化への対応が一弾と高まっている。光多重、光接続、光交換などの技術開発が進むとともに、光ファイバーケーブルの開発・高度化の推進も活発になされている。
 このような動向の中、トータル光通信ネットワークの実現に不可欠な要素として、接続・分岐が容易なプラスチック光ファイバーを開発しようというのが今回のプロジェクト。
 プラスチックファイバーは、曲げやすい、低コスト、接続・分岐幸次が容易など多くの利点を有しており、このメリットを生かし、加入者系の支線網に利用できるプラスチックファイバーの開発を進めることになる。

1997年12月27日

パーフェクTVとJスカイB 2月に対等合併

 96年10月にCSデジタル放送第一弾としてサービスを開始した総合商社系CSデジタル放送プラットフォームの日本デジタル放送サービス(パーフェクTV)と98年春開局を目指す豪ニューズコーポレーション系のCSデジタル放送プラットフォームのJスカイBは、98年2月に対等合併契約を締結することを目標に、具体的交渉をはじめる基本合意に達したことを明らかにした。両社はすでに受信機(IRD)の共用化をはじめ協力関係を持ち、合併を視野に入れた動きを見せていたが、合併の方向で進むことで一致、資本構成、役員構成、サービス内容など詳細の協議を今後本格推進する。
 パーフェクTVとJスカイBは、いずれもJSATの衛星を利用(ディレクTVは宇宙通信のスーパーバードC=軌道・東経144度)している。パーフェクTVはJCSAT-3(東経128度)ディレクTVはJCSAT-4(東経124度)。衛星の位置が近く、一本のパラボラアンテナで容易に受信できる(商品化もされている)のは有利な点。
 IRD共用化で技術的なバックグラウンドがあること、ソニーが技術的支援を行っている点、なども合併を円滑に進める上でプラスの材料。
 ただ、パーフェクTVは50万の加入者を持つ実績がある。これに対してJスカイBはまだ放送をしていない。しかしコンテンツ面ではFOX、BスカイBなどを傘下に持つニューズ・コーポレーションは強気。このあたりが今後の合併交渉上のポイントと見られている。
 この時期での合併プラン公表は、11月にスタートのディレクTVを押さえ込もうとの意識もある(ユーザーのIRD購入を来春まで引き延ばさせる、などの面で)ようだ。また、両プラットフォーム対応受信機開発・商品化をメーカーにアピールするのも狙い。
 一方のディレクTVとしても、二社体制への移行は十二分に考慮済み。「CSデジタルの市場性は大きい。だが、三系列がやっていけるかどうかはわからない。わが社として全力を投入していく」とかねてから決意しており、真っ向対応の姿勢。

1997年12月27日

今年の家電/情報家電

 消費税特需で明け、金融不安に端を発した不況で幕を閉じる97年。電機業界も序盤と4月以降ではっきりと明暗を分けた。明暗を分けたといえば、電気製品の各ジャンルでもヒットした商品、期待はずれに終わった商品が分化。ワイドテレビ不振の陰で4対3テレビが復活、堅調な携帯電話に対しPHSが失速、ノートブック躍進の一方でデスクトップパソコンが低迷、オーディオではカセットからMDへのシフトなど一つの商品分野でもまだら模様の商況となった。基本的には軽薄短小・デジタル化・健康志向というここ数年の消費ニーズの流れが続いているが、機能や価格よりも使い勝手を重視する傾向も出始めているようだ。

パソコン
 ノートブック、モバイルが伸びてデスクトップが予想以上に苦戦。パソコンの成長神話に陰りが出たが、ノート、モバイルは大きく伸びた。
 97年度のパソコンの国内需要は、当初、前年比22%増、880万台が見込まれ、テレビ市場に迫ると期待されながら、上期では前年同期比99%と低迷、年度でも750万台に達すればよいと言う厳しい状況。
 こうした中、大きく伸びたのがノート、サブノート、ミニノートといったポータブルパソコン。97年度上期では、143万台で前年同期比27%増という高い伸び。年度でも、330万台で同29%増が見込まれている。さらに、PDAを含めたモバイル市場が一気に100万台市場に急成長してきている。
 一方、デスクトップは予想以上に低迷。企業向けは堅調ながら、店頭系の伸びに急ブレーキがかかった。ノートの機能アップにより、デスクトップからの置き換え需要も、低迷の要因。さらに、期待されていた家庭用のオールインワンがまだ認知されなかった。上期のデスクトップは193万台、前年比85%、年度で227万台、同90%とマイナス成長になる見通しだ。

移動電話
 パーソナル通信メディアとして脚光を浴びた携帯電話とPHS。この両社が97年は明暗を分けた。携帯電話は一千万加入の増加を達成、快調な歩みを続けているが、PHSは150万加入程度の増加にとどまりそうだ。
 携帯電話はピークを過ぎ、98年は20ポイントは加入増加率が低下するとの見方が強いが、交信需要増で端末販売は前年同程度見込まれる。
 PHSは一層のエリア充実(俯瞰地帯対策、輻輳対策)32Kbps伝送利用システム開発も課題。ヤング層だけでなく法人ユーザー、一般家庭への浸透も重要テーマ。

テレビ
 カラーテレビの1-10月の累計出荷台数は前年比3.6%増の789万台。このうち4対3タイプの累計出荷は同10.2%増の608万台で、AV市場全体が低迷する中2桁アップを記録している。一方、ワイドテレビは同12.3%現の184万台で、2桁マイナスとなっている。
 最大の要因はワイド画面ソフトの不足。ワイド番組はハイビジョン放送以外にはほとんどなく、またビデオソフトでもワイド画面タイプはまだわずかだ。
 カラーテレビ需要は買い換え需要が中心であるため、迫力あるワイドテレビよりも4対3を選ぶという理由も多いようだ。

ポータブルオーディオ
 97年のオーディオ分野のキーワードは"MD"の一言につきる。これは、自分の好きな音楽を録音したものを移動時にも楽しむことができるポータブルオーディオにおいても変わらない。ポータブルオーディオ機器市場自体はほぼ安定市場といえるが、その中でもポータブルMDの伸長とヘッドホンステレオの減少という傾向は、ポータブルMD製品が充実した今年、特に顕著に現れたといえる。
 10月までの国内出荷累計実績を見ると、ヘッドホンステレオが前年同期比88.1%の281万台であるのに対し、ポータブルMDは同147.3%の104万8,000台となっている。
 セットステレオでもいえることだが、MDの半永久的な音質の良さ、使い勝手の良さ、といったカセットにはない多くのメリットが、ヘッドホンステレオよりも割高ながらもユーザーメリットにつながっているといえる。

空調機器
 空調機器は、住宅着工件数の減少と天候不順のダブルパンチで夏モノ・冬モノともに精彩を欠いた。しかし、消費者の健康志向を反映して空気清浄器は大きく成長し、史上初の150万台突破を達成したようだ。
 空気清浄器は、浄水器と並ぶ健康家電の中心商品。従来はファン式が大多数を占めていたが、音が静かで電気代も安いイオン式の登場をきっかけに市場が拡大してきた。今年は前年比15%増の155万台の出荷と推定されるが、内訳はファン式が85万台、イオン式が45万台、ファン&イオン式が25万台となったようだ。
 しかし、大型商品のエアコンは、平成9冷凍年度の出荷台数が前年比11.9%現の715万台、10、11月も流通在庫が残っている関係で前年の7-8割という低迷ぶり。メーカーでは健康志向に対応して、エアコンの空気清浄機能の強化を図っている。

1997年12月30日

家電量販店22社(上場会社)


店舗数 売上高(100万円)
コジマ(宇都宮市)175138,661
ベスト電器(福岡市)521137,465
上新電機(大阪市)249109,182
デオデオ(広島市)435102,436
ヤマダ電機(前橋市)10171,905
ラオックス(東京都台東区)9267,775
マツヤデンキ(大阪市)33063,805
エイデンサカキヤ(名古屋市)12550,927
ケーズデンキ(水戸市)15543,032
ミスターマックス(福岡市)3638,100
第一家庭電器(東京都新宿区)71631,617
デンコードー(仙台市)8429,262
セキド(東京都八王子市)5827,938
マキヤ(沼津市)4924,907
ノジマ(相模原市)6824,712
そうご電器(札幌市)17424,120
すみや(静岡市)10621,393
八千代ムセン電機(大阪市)2621,029
関西電波(四日市市)4217,618
ワットマン(横浜市)3317,145
中川無線電機(大阪府吹田市)4012,640
マツモト電器(埼玉県富士見市)199,959
真電(新潟市)316,151
1997年12月30日


電波新聞拾い読み トップページへ