電波新聞拾い読み 1997年11月

米マイクロソフト 米司法省の独禁法違反提訴に反論書

 米マイクロソフトは11日、同社がパソコンメーカーに対し、インターネットブラウザ「インターネット・エクスプローラ」とウインドウズ95との抱き合わせ販売を強要してとして米司法省が10月、独占禁止法違反で提訴したことについて、ワシントンの連邦地裁に10日付で反論書を提出したと発表した。
 この中でウイリアム・ニューコム上級副社長は「ウインドウズにインターネットのホームページ閲覧機能を組み込むのは自然で当然だ」と指摘し「政府はこうした発展を奨励すべきでも妨害すべきではない」と主張。
 同社は裁判所に対し、米司法省の訴えを全て拒否するよう求めている。司法省側はマイクロソフトの反論に対する見解を20日までに提出。審問は12月5日。

1997年11月13日

米アップル インターネットでのパソコン直販 12時間で50万ドル突破

 米アップルコンピュータは11日、同社がインターネット上で10日にはじめたパソコンの直接販売店「アップル・ストア」が、当初の12時間だけで50万ドル(約6,250万円)の売上高を上げた、と発表した。
 同社のスティーブ・ジョブズ臨時CEOは「アップルストアと、新型パソコン、パワーマッキントッシュG3シリーズに対する素早い顧客の反応を喜んでいる」と述べた。
 アップルストアは同社が10日発表した新販売戦略に基づいて開店した。米デル・コンピューターやゲートウェイ2000などがパソコンの直接販売で成功していることから、これらのメーカーの販売方式にヒントを得た動きと見られる。

1997年11月13日

八重洲無線 HF〜430MHz帯オールモードフルカバー「FT-847」

 八重洲無線は、HF帯、50MHz、144MHz、430MHzをオールモードでフルカバーするDSP搭載オールモード・コンパクト・トランシーバー「FT-847」シリーズを平成10年1月発売する。同シリーズは、出力100WのFT-847(210,000円)出力50WのFT-847M(210,000円)出力20WのFT-847S(206,000円)の3タイプ。
 "マイクロインテリジェントステーション"をキャッチフレーズに登場のFT-847。電離層反射を利用したHF帯のCW/SSB通信、CWで海外の珍局とQSOできるチャンスが広がるDX通信、コンテストへの参加やアワードハンティング、50MHzでの移動運用、144MHzでのモービルステーションとのドライブ情報交換、430MHzでのレピータ利用の運用、SSTV、パケット通信・・・・・さまざまな運用が可能。
 同製品は、新開発のDSPによる多彩なデジタル機能を搭載している。シャープなファクターを誇る通過型デジタルバンドパスフィルターを採用。オートNOTCH、デジタルノイズリデューサー、デジタルスピーチプロセッサーなどで高性能化を達成。

1997年11月18日

アイコム HF/VHFオールバンド一体「IC-746」

 アイコムは17日、HFオールバンドとVHFオールバンドを一体化したアマチュア無線機IC-746(198,000円)と、HFオールバンドと50MHz用のオートアンテナチューナーAH-4(49,800円)を、今月下旬に発売すると発表した。
 IC-746の出力はHF帯、50MHz帯が100W、144MHz帯が50W(100W改善も可能)DSPによるノイズリダクション、オートノッチ、ウルトラナローフィルターの採用により、明瞭な音声再生を実現。
 1.9MHz帯-50MHz帯をカバーする高速オートアンテナチューナーを内蔵し、整合状態はメモリーされる。ディスプレイ下部にドットマトリックス表示があり、バンドスコープ、デュアル周波数、メモリーチャンネルのコメント/記憶内容、ツインPBTの動作状態表示が可能。幅287×高さ120×奥行き316.5mm、重さ約8.9Kg。
 AH-4は、7m以上のワイヤアンテナで、3.5MHz帯-50MHz帯を、平均2、3秒で整合し、チューニング時にはアンテナからの不要放射を約0.3Wまで低減。整合状態を45チャンネルメモリーできる。
 幅172×高さ230×奥行き69.5mm、重さ1.2Kgで、同社従来のAH-3と比較して、大きさ、重さは約50%小型、軽量化された。防水、耐候、塩害防止構造のため、あらゆる場所に設置できる。

1997年11月18日

日立 WinCE搭載のHPC

 日立製作所は、マイクロソフト「ウインドウズCE2.0」英語版搭載のハンドヘルドコンピューター(HPC)を、米国ラスベガスで開催の「CMDEX/Fail97」に出展。同社はこのHPSを来年の第1四半期に商品化し、米国市場では日立ホームエレクトロニクスが、カナダ市場では日立カナダにおいて販売する。
 すでに97年4月からウインドウズCE1.0を搭載したHPW-10Eシリーズを販売しているが、OSのバージョンアップに合わせて試作機を出展するもの。また、32ビットRISCチップファミリーのSH-3をウインドウズCEのためのキープロセッサーとして引き続き提供し、同社のHPCにも採用している。
 今回のHPCの主な仕様は、CPUはSH-3、表示はタッチパネル液晶(640×240ドット)でバックライト付き、キーボードは69キー、メモリーは8MB、大きさは196×109.2×29.5mm、重さは490g。ソフトウエアは、オフィス用アプリケーションがポケットWord2.0、ポケットExcel2.0、ポケットパワーポイント、PIMはポケットOutlook2.0ほか、また通信ソフトインターネットエクスプローラ2.0など。

1997年11月18日

松下電器 デジタルカメラ「クールショットII」

 松下電器/松下寿電子工業は17日、1.8型カラー液晶、コンパクトフラッシュカードを採用し、世界最小、最軽量のデジタルカメラ「クールショットII」LK-RQ1Z(54,800円)を、12月3日に発売すると発表した。2MBカードを使用した場合、ノーマル撮影は約85枚が可能。
 新製品は、幅91×高さ60×奥行き31.5mm、重さ約198g(電池、カード含む)の小型、軽量。コンパクトフラッシュカードは、アダプターでパソコンに入力できるほか、一部のビデオカラープリンターには、ダイレクト入力ができる。
 640×480画素のファインモードで約24枚の撮影が可能で、デジタル2倍ズーム撮影、マクロ撮影、日付データ機能をもつ。光学ファインダー付きのため、液晶モニターオフの撮影もできる。オプションのフラッシュは簡単に取り付け可能。
 再生は、9画面マルチ、2倍拡大再生、連続再生ができ、本体の液晶画面や、テレビ画面にパソコンを経由せずに、再生できるスライドショー機能をもつ。

1997年11月18日

しめやかに故 鈴木勇 九十九電機会長の社葬

 故鈴木勇 九十九電機代表取締役会長の社葬が18日、東京都港区の青山葬儀所で電機産業会、経済関係者が多数列席してしめやかに営まれた。
 角田照永 角田無線電機会長は弔辞で「昭和22年3月、20歳の若さで通信機材の取り扱いをはじめ、パーツ・無線機器・オーディオ機器・パソコン・電話機など常に新しい製品分野に率先して取り組み秋葉原市場を牽引してきた」と述べ、また、的井聖士NECパーソナルシステム社長は「秋葉原でNECのコンピューターを真っ先に取り扱っていただいた。お客様の100%の満足をめざす理念を込めた九十九の店名と経営姿勢に敬服」と故人を偲んだ。

1997年11月19日

インターネットブラウザ市場シェア

 17日付ウォールストリート・ジャーナル紙によると、インターネットブラウザのシェア争いで、米マイクロソフトがネットスケープ・コミュニケーションズを一段と追い上げていることが、データクエストの調査で明らかになった。
 データクエストによると、第3四半期(7-9月)のブラウザ市場シェアは、ネットスケープが57.6%(前期61.1%)と過去最低に低下した。一方、マイクロソフトは39.4%(前期35.3%)に上昇した。
 マイクロソフトは、自社のブラウザの搭載をコンピューターメーカーに強要している、として司法省の調査を受けている。

1997年11月19日

Win98の新ベータ版を年内出荷

 米マイクロソフトのリッチ・トング副社長は17日、世界最大のコンピューター見本市「コムデックス」で、年内に「ウインドウズ98」の新たなベータ版を出荷すると発表した。最終版の出荷については、来年前半をメドにしている。

1997年11月19日

米AOL 会員数1,000万人突破

 米国オンライン・サービス企業アメリカン・オンライン(AOL)の会員数が1,000万人を越えた。同社によると、今年だけで米国、カナダ、欧州、日本で300万人の会員を集めるのに成功した。94年に100万人を突破し、昨年に500万人台乗せを果たしたばかりだった。
 会員の増加に合わせてシステムの拡張もハイペースで進んでいる。モデムの設置数は60万台を超え、毎月25,000台の割合で増設が行われている。今年末にはAOLとして三番目の電算機センターがオープンする。  一日あたりの利用者は述べ2,000万人を越え、AOL経由でやり取りされるEメールは、2,100万通。ネット上での商品・サービスの売買額は月額3,000万ドルを超え、月間20万件以上の株式取引が行われている。

1997年11月20日

米サン「Javaを勝手に改変」 マイクロソフトを提訴

 米マイクロソフトが、サン・マイクロシステムズ開発のプログラミング言語「Java」を勝手に改変したとしてサンがマイクロソフトを相手取り、損害賠償を求めた訴訟で、サンは18日、マイクロソフトによるJavaの登録商標使用差し止めの仮処分申請を米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁に提出したと発表した。
 訴えによると、マイクロソフトは人気のインターネットブラウザ「インターネット・エクスプローラ4.0」とその関連製品の宣伝活動などで、Java互換の商標を使用しているという。
 JavaはOSを問わず、あらゆるコンピューターで動作する応用ソフトが開発できるため、インターネット時代のカギを握るソフトとして注目されている。サンの主張では、マイクロソフトはJavaをウインドウズ上で最も良く動くように改変。このためマイクロソフトのJava関連ソフトは、サンのJava互換性テストにパスしなかった、という。

1997年11月20日

アルインコ 144/430MHz車載用「DR-610D」

 アルインコは、144/430MHzツインバンドの車載用アマチュア無線機DR-610D(79,800円)を、20日に発売した。
 送信出力20W、144MHz帯、430MHz帯の各同一バンドの同時運用ができ、表示は各バンドの独立表示。同社が開発したチャンネルスコープ機能をさらに進化させた11チャンネルのアドバンスドチャンネルスコープを採用。
 動作モードがカラー照明でわかるイルミネーションで表示を採用し、パネル部が着脱できる瀬パート方式。また、フルデュープレックス、スプリット運用に対応し、5バンク、120チャンネルメモリーを内蔵。このほか、スキャン機能、モノバンド運用機能、8種のチャンネルステップ機能などを備えている。

1997年11月21日

ケンウッド 3月期中間決算

売上高 1,207億6,600万円(前年同期比11.9%増)
営業利益 2億6,000万円(黒字化)
経常利益 3億7,100万円(黒字化)
中間利益 3億1,400万円(前年同期比109.3%増)
1997年11月22日

アイコム 3月期中間決算

売上高 89億6,200万円(前年同期比12.9%増)
営業利益 6億円 (前年同期比10倍)
経常利益 2億3,700万円(前年同期比104.2%増)
中間利益 1億4,200万円(前年同期比54.5%増)
1997年11月22日

日本マランツ デジタルMCA携帯/車載型

 日本マランツは、デジタルMCA無線の携帯型と車載型の2機種をこのほど発売、同分野への攻勢を強める。MCA市場は、景気の低迷や携帯電話の影響を受けて厳しい環境にあるが、一斉同報や経済性などの利点があり、ビジネス通信手段としては魅力は十分。同社では新製品を武器に、市場活性化を追求するとともにシェアアップに挑戦の考えだ。
 オーディオと無線機を二本柱に事業を展開の同社。無線分野ではアマチュア無線と業務用無線などに対応してきた。この業務用無線の核であるMCA無線機において、定評ある携帯型とともに車載型も併せて発売する。
 携帯型デジタルMCA無線機の新製品HX590KHD(オープン価格)は、標準電池パック装着時で、大きさ155×54×30mm、重さ370g。手にしっかりなじむラウンドフォルムを採用。
 クリアな音質、バッテリーの長寿命化(標準タイプで8時間運用か=送信1・受信1・待受18の比率)漢字表示ができる大型ディスプレイ、漢字・かなメッセージ送受信などの特徴を持つ。
 車載型の新製品GX5090KHD(オープン価格)は、薄型コンパクトボディー(幅140×高さ36×奥行き139mm)。手元のマイクで集中コントロールできる。留守番ボイスメモリー、大型スピーカー、メモ録音・再生などの特徴を備えている。

1997年11月25日

DDI/IDO ナローバンドCDMAに高評価

 第二電電(DDI)と日本移動通信(IDO)は、11月4日から7日まで東京ビッグサイトで開催の「COM JAPAN'97」で次世代デジタル携帯電話方式のナローバンドCDMA方式「cdmaOne」(IS95)を一般公開、通話体験の利用者に対し行ったアンケート結果をこのほどまとめた。
 このアンケート結果によると
  1. 通話体験者の59%が固定電話と同等以上と評価
  2. 通話体験者の82%(携帯電話ユーザーに限った場合は94%)が既存の携帯電話と同等以上と評価
  3. 通話体験者の85%が「使ってみたい」と評価
  4. 通話体験者の35%が「ノイズが少ない」31%が「相手の話し声が自然」23%が「エコー感がない」と評価
などとなっていると分析。
 今回の一般公開は、最新の音声処理技術(8KbpsEVRC)を世界に先駆けて採用した試験器を用いて実施。アンケート結果を参考に、ユーザーからより強い支持が得られるように技術開発を進め、高信頼ネットワークによるサービス提供につとめる方針である。

1997年11月25日

ITU世界無線通信会議 低軌道周回衛星の周波数拡張

 10月27日からジュネーブで開かれていた国際電気通信連合(ITU)の世界無線通信会議(WRC)は21日、低軌道周回衛星を利用した通信システムに対応するため無線周波数帯を拡張するほか、1977年に作成された旧放送衛星(BS)プランを見直し、新規加盟国に対し新たにチャンネルを割り当てることなどを決め、閉会した。
 低軌道周回衛星は静止衛星などに比べて地上からの距離が短いため、端末の小型化と伝送時間の短縮を実現、地球のどこからでも電話がかけられる衛星携帯電話を可能にした。米モトローラのイリジウム計画やフランスの通信機器メーカーアルカテルのスカイブリッジ計画などが既に始まり、前者は来年秋、後者は2001年からのサービス開始をめざしている。
 会議では、従来の静止衛星システムが使用する周波数帯を、新規のスカイブリッジが共有できるよう技術上の暫定的な取り決めをした。
 放送衛星では、新規加盟国に対し一国あたり5チャンネルを割り当て、特に途上国のチャンネル雑徭急な対応するため、4年後をメドに一国あたり10チャンネルを目標として検討することになった。
 会議には148カ国から専門家約2,200人が参加。地上20-50Kmに滞空する飛行船による通信システムにも計600MHz幅の周波数分配を決定。将来、海上の油流出事故の監視や車上からのインターネット通信などでの利用が期待される。

1997年11月26日

カシオ計算機 「カシオペア」新製品

 カシオ計算機は、ウインドウズCE搭載ハンドヘルドどPC「カシオペア」の新製品として、80MIPSの高速CPUを搭載するとともに交通路検索ソフト「トラベルナビゲータ」など、ソフトの充実を図った「A-51V」(88,000円)を12月10日から新発売する。
 今回のカシオペアA-51Vは、80MIPSの高性能CPU「SH-3(80MHz)」を採用し、処理速度の向上を図っている。
 また、目的地までの交通経路を素早く検索できるソフトや、フレーム対応のWebブラウザ、学習機能付き手書き文字認識など、5種類のソフトが使える。さらに液晶表示部には暗いところでも見やすいELバックライトにタッチパネルを内蔵、よく使うソフトを直接呼び出せるファンクションキーを用意するなど、ビジネスからパーソナルまで、多彩なモバイルニーズに応える最新のハンドヘルドPCに仕上げている。

1997年11月26日

76GHz帯利用の小電力ミリ波レーダーの技術基準固まる

 76GHz帯の電波を利用した小電力ミリ波レーダーの技術基準などがこのほど固まった。
 同システムは、自動車に搭載することで運転者をサポート、衝突事故などの防止に力を発揮することになり、安全運転や交通管理最適化などをめざす高度道路交通システム(ITS)を構成する重要なものとして期待される。
 今回決まった76GHz帯小電力ミリ波レーダーは、空中線電力が10mW以下、空中線利得は40dB以下、指定周波数帯幅は1GHz以内となっている。
 小電力ミリ波レーダーは、ミリ波帯の周波数を使うレーダーシステムで、100m程度の状況を探知できる。霧の中、降雨・降雪時でも使用可能なため利用分野は広く、早期実用化が望まれていた。この期待に応え、今回技術基準が固まった。
 同システムの基本性能は大別すると二つ。レーダー前方の障害物などまでの距離を測定する距離測定機能、レーダー前方の障害物などに対する速度を測定する速度測定機能。
 この双方の機能を所有することが望ましいが、使用目的や測定方法で、どちらか一方の機能のみを持つことも考えられる。
 とくに活発な利用が予想されるのが自動車への搭載。車間距離表示、対地速度表示、衝突防止警報、後方監視警報、速報監視警報、死角監視警報などの警報・表示が一つ。 危険回避を援助する制御(エアバッグ制御、車両距離制御など)や自動走行制御(自動ブレーキ、車速制御、自動追従走など)も有力な使用目的といえる。エレクトロニクス分野で今後大きく発展すると見られているITS。自動運転を最終目標とするITSに関しては、ナビゲーションシステム、自動料金収納システムが商用化あるいは試験中。そして、衝突防止や電波誘導による走行などの研究開発が進行中。
 このような目的を達成する上で今回の76GHz帯小電力ミリ波レーダー波は大きな力を発揮すると見られる。今後実用化に向け、メーカーでの開発にピッチが上がりそうだ。

1997年11月29日


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