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電波新聞拾い読み 2020年4月16日

電機メーカー マスク生産相次ぎ開始

 新型コロナウイルスの感染拡大で直面しているマスク不足を解消するため、異業種の電機メーカーがマスク生産に乗り出している。
 シャープは、液晶パネルを生産する三重工場(三重県多気町)で3月24日から生産を始め、31日に出荷を開始した。1カ月程度は日産約15万枚とし、順次設備を増強して日産50万枚まで増やす予定だ。
 空きスペースとなっていたクリーンルームにマスク生産設備2ラインを導入。政府の要請に応じた形で補助事業にも採択されており、当初は政府への納入を優先する。その後、同社ECサイトで50枚入り製品を販売する計画だ。
 アイリスオーヤマも国内のマスク部杣解消に向けて、角田工場(宮城県角田市)の製品在庫や資材を置いていた場所をクリーンルームに改修し、マスクの生産ラインを8ライン設置。設備は5月に搬入予定で、早ければ同月末から生産を開始する。
 現在は中国の大連工場(遼寧省)と蘇州工場(江蘇省)でマスクを生産し、日本向けに月産8000万枚を供給している。角田工場では月産6000万枚の体制を構築し、日本に合計1億4000万枚供給できるようにする。
 中国から日本へは約2週間のリードタイムが必要だったが、国内生産にすることで即日供給できる体制を整える。自動化ラインであるため、8ライン設置しても「数名程度で対応できる」。新型コロナウイルスが収束した後も、行政の備蓄ワウとやマスク着用に帯する社会的ニースぜは引き続き強いと見て、長期的な事業として取り組む方針だ。
 プリント基板や液晶パネル向け部品などを開発・製造するフェニックス電機(兵庫県姫路市)は、4月下旬から5月上旬をメドに、日産約8万枚でマスク生産を開始する予定だ。
 グループ会社のナカンテクノ(千葉県佐倉市)からマスク生産設備を1台購入。8時間で4万枚生産できる能力があり、当初は5、6人の人員で対応する。24時間の生産体制にすれば8万枚以上生産できるため、日産20万枚への増強も検討している。
 露光装置用光源ユニットを生産していたクリーンルームを約5000万円かけて改修した。生産したマスクは当初、姫路市内の医療機関に供給し、その後は一般販売も検討するが「時期は未定」。
 ミネベアミツミは今後の安全操業を目的に、国内外の同社グループ従業員約10万人などに配布するため、マスクの自社生産を1日から開始した。生産場所などは明らかにしていないが、日産20万枚を目指す。
 シャープやアイリスは長期的な事業としてマスク生産に取り組む考えだが、一方では、生産を決めたものの持続的な事業とするか「未定」という企業も少なくないようだ。
 半導体製造装置用部品などを開発・製造している東京技術研究所(川崎市麻生区)ではポリエステル製マスクの生産に乗り出したが、「問合せが殺到し、本業にも影響しかねない」として、17日までの注文分で生産を終了することを決めた。


電波新聞拾い読み 2020年4月16日