18年度末(19年3月末)時点の国内光回線(FTTH、ファイバ・ツー・ザ・ホーム)契約数は3166万件で、前年同期より106万件増加した。一方で超高速・大容量伝送が可能な次世代移動通信システム「5G」の登場はFTTHにとって脅威になるとの見方もある。
FTTHは通信事業者の設備から加入者宅まで光ファイバーケーブルでつなぐアクセス方式。
固定系ブロードバンド(BB)にはFTTH、DSL(デジタル加入者線)、CATV(ケーブルテレビ)、FWA(固定無線アクセス)の4種類がある。総務省によると、これら4種合計の固定系BBサービスの契約数は3月末で4025万件。このうち、契約数が圧倒的に多いのがFTTHで、FWAは極端に少ない。
3月末のFTTH契約は全固定BB契約の78%を占める3166万件、前年同期比3.5%増。この1年間、四半期ごとに平均237万件のペースで増えている計算だ。
携帯電話事業者が通信事業者から光回線を借りて利用者に提供するサービスにはNTTドコモの「ドコモ光」やKDDIの「auひかり」があり、こうした光を利用する加入者の増加やCATV網の光化などが増加基調の根底にある。
特にCATV業界は光化への取り組みが顕著。総務省によると、17年度末時点のケーブル幹線路38万6642kmのうち26万3750kmが光化され、幹線の光化率は68.2%のに達している。
光回線利用者の増加はNTT東西が光回線を他社に卸す「光コラボ」経由が多い。NTTドコモのドコモ光、KDDIのauひかりがこれに当たる。携帯ショップでは携帯電話契約時に光回線への切り替えを勧誘するケースが多い。
現行のFTTHは依然として1Gbpsサービスが一般的。しかし、4K8Kによる放送サービスの高度化やIP放送化が普及した場合、混在する通信パケットの影響を受けずに安定したIP放送を行うには1Gbpsでは満足できない。
既に通信速度が上り/下り最大5Gbpsや10Gbpsといったサービスも登場している。
固定系BBサービスの事業者別シェアはNTT東西が22.3%でトップ。さらに両社が他の事業者に卸している分を合計するとNTT東西で53.9%を占める。固定BBサービス契約の半分以上はNTT東西ということになる。
FTTH市場の将来性について、調査会社のMM総研は「来年は5Gの登場でデータの超高速・大容量伝送の時代が来る」と予測。
また、FTTH市場の将来については「5Gの登場によってFTTH需要が鈍化するのではないかという警戒感も一部にある。しかし、光コラボや10Gbpsなどの超高速回線によるFTTHの新規需要増は依然として続く」との見通しを示す。
この結果、CATVの光化も後押しし、FTTH契約は19年度末に3208万件、23年度末には3446万件になる、というのがMM総研の予想である。