衛星放送協会の小野直路会長は10日の定例記者会見で、有料・多チャンネル放送市場の拡大を19年度の主な重点目標とし、新4K8K衛星放送の普及とネット配信への対応にさらに取り組んでいく考えを明らかにした。
昨年12月に開始した新4K8K衛星放送では、同協会会員社により、BSで5チャンネル、110度CSで8チャンネルの合計13チャンネルが放送されている。
小野会長は4K放送の動きがまだ活発でない理由の一つに、左旋特有のアンテナの問題で直接受信普及には課題が多いことを指摘。「アンテナを介さない視聴形態の一つとして、第3世代のSTBの設置などで対応するCATVに期待する」(小野会長)。
また、9月のラグビーW杯や来年の東京五輪・パラリンピックを控えている中、受信機の普及が進むことにも期待を込めた。
ネット配信への対応については、動画配信サービスの多様化と本格普及が進む折、今年度中に新しく参入するNHKの常時同時配信など、さらに放送と通信の融合で視聴環境は大きく変化する。
こうした中、同協会では昨年6月にネット委員会を立ち上げて協会内の課題と研究など様々な活動を行ってきた。
小野会長は「ネットが作り出す新しい可能性も活用しながら、有料・多チャンネルの世界をさらに広げていきたい」とし、さらに「当会員社が成長を続けるためには、オリジナルコンテンツをどう増やしていくかが鍵になる」と訴えた。
オリジナルコンテンツ強化に向けて同協会では、11年から「オリジナル番組アワード」の表彰に力を入れている。小野会長は「オリジナルコンテンツの充実や、新たなコンテンツの開発を続けるエネルギーが大切だ」と述べた。
有料・多チャンネル放送の契約数は1364万件(3月末時点)と前年比3万件増となり、さらなる拡大を目指す。