▽家電(AV)
19年のAV市場は4Kテレビを中心に市場が拡大しそうだ。昨年12月1日にスタートした新4K8K衛星放送に対応した製品群も増えており、4Kチューナをはじめチューナ内蔵テレビ、チューナ内蔵レコーダなど4Kをキーワードにした製品が続々と発売されている。
8Kテレビも周辺機器を含めて出てきた。今年は新4K8K衛星放送チューナを内蔵したテレビと周辺機器がさらに増えてくるほか、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなども4K対応が加速、国内テレビ市場は年間600万台規模まで回復しそうだ。
オーディオ関連はCDより高音質なハイレゾ対応機器の充実がさらに進む。日本オーディオ協会が認定しているハイレゾロゴ使用機種数は2000モデルに達しており、今年はワイヤレス機器のハイレゾ対応も進みそうだ。
▽白モノ家電
今年の白モノ家電は安定した買い替え需要に支えられ、堅調な市場が見込まれる。
大型家電を中心に消費税増税前の駆け込み需要が予想されるが、20年東京五輪・パラリンピックも控えるため、消費マインドはさほど落ち込まないとの見方が強い。
付加価値の高い製品へのシフトが全体的に進んでおり、台数は拡大しにくいものの、単価アップにつながっている。今年もこの傾向は続くだろう。
IoT化も進展している。IoT化はロボット掃除機や空気清浄機など小型家電を中心に進んできたが、今年はエアコンや洗濯機、冷蔵庫など大型家電でも加速する見込み。外部サービスとの連携も本格化しそうで、白モノで新たな価値が提案される一年になると考えられる。
▽情報通信
19年の情報通信市場は、IoTやAIなどの最新デジタル技術を使ったデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の実現に向けた支援がもう一段進展する。クラウドの利用は当たり前になり、現場を支援するシステムに加えて基幹システムのクラウド化も加速しそうだ。
DXは金融、流通、産業など各産業分野でPoC(実証実験)から実導入に移る事例がさらに増える見通し。働き方改革を切り口に業務を自動化していくRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIで自動応答するチャットボットの採用も進むとみられる。サイバー攻撃は今年もさらに高度化し攻撃対象も広がってくるため、セキュリティサービスも多様化しそうだ。
▽電子部品・半導体
19年の電子部品市場は、前年より伸び率は鈍化するものの、3年連続の成長を見込む。分野別では、電子化/EV化が進む自動車を中核に、基地局/データセンター関連、高機能モバイル機器、産機/インフラ関連がけん引役として期待される。
一方で、米中貿易摩擦の激化に伴う中国および世界経済への影響が懸念され、先行きの部品需要には不透明感も強い。
車載用では、ADAS/自動運転技術の高度化やEV関連の部品需要増大が見込まれる。スマホ用は、台数成長が成熟化する中、5G関連の新たなデバイス需要の創出などが期待されている。このほか、医療機器関連、セキュリティ、東京五輪関連のインフラ需要などへの期待も高い。
世界の半導体業界は、これまで成長をけん引してきたメモリー市場の大幅な減速に伴い、売上げはプラスを維持するものの成長が鈍化。世界半導体市場統計(WSTS)によれば、19年は前年比2.6%増の見通し。
メモリーは、NAND型フラッシュ、DRAMとも高性能品を含め供給量が増加し、18年から価格下落傾向が継続する。今年前半はスマホ需要の減少や、米インテルのCPU不足の余波でPC向けも低調となり、市場は低迷の見通し。AIやクラウド向けの需要は引き続き堅調で、後半には全般的に需要が持ち直しそうだ。
▽放送・CATV
昨年放送を始めたBS局は今年の放送番組でいかに4K比率を引き上げられるかが課題だ。
昨年は多くの自然災害に見舞われ、放送網も打撃を受けた。この対策として放送ネットワークの強じん化がさらに必要になる。ラジオ放送ではFM補完中継局の整備も欠かせない。
インターネット時代を迎えNHKによるテレビ放送の常時同時配信が実現に向けて大きく動き出す年。
衛星放送分野では長年の懸案だった東経110度CS右旋のHD化が進み、全54チャンネルのうち42チャンネルがHD化された。CS局にとって放送の高度化に向けた大きなチャンス。今年はBS右旋の新規参入の公募もある。
CATVは4K放送の後の事業としては無線への取り組みを一段と強化する年でもある。MVNOと地域BWAや、ケーブルIDと各種サービスの連携など、業界飛躍のための種が多くある。