次世代超高速移動体通信システム「5G」の20年商用サービス開始に向け、昨年末に移動体通信システムの国際標準化団体「3GPP」で、5Gの新たな無線技術「5G NR(New Radio)」の標準仕様の初版策定が完了した。これにより18年は国内外のキャリア、通信機器ベンダーなど関係各社による5G NRの開発が加速しそうだ。
5Gは現行の4G・LTEに比べて100倍高速、1000倍以上の大容量通信、10分の1の超低遅延を実現。1平方キロメートル当たりの端末同時接続数もLTEの10倍の100万台に増える。
こうした特徴を生かして、5Gは4Kや8Kなどの超高精細映像のリアルタイム伝送や、自動運転、遠隔医療、セキュリティなど様々な分野での利活用が想定。また、あらゆるものがネットにつながるIoTの基盤としても期待されている。
国内では昨年、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのキャリア3社が中心となって、実際のユースケースを想定した総合的な実証試験が本格的にスタートした。
5Gではかつてない超高速・大容量通信、超低遅延などの高い要求条件に対応するため、LTEの円超ではない、新しい無線技術5G NRが導入される。
また、使用周波数帯は、これまで通信や放送に使われてきた低い周波数帯が飽和状態にあることから、6GHz以上、あるいはミリ波帯といわれる28GHzや39GHzなど高い周波数帯の利用が不可欠。
ただ高周波数帯は電波が遠くまで届きにくく、安定性が低い。これを克服するため、5G NRでは多数のアンテナ素子を協調動作させ、任意の方向に電波のビームを形成、高速・大容量通信を実現する「マッシブMIMO」「ビームフォーミング」技術の採用が検討されている。
20年東京五輪での商用サービス開始を目指す日本では当初、5G NR登高度化したLTEの連携による無線アクセスネットワーク(=ノンスタンドアロン=NSA)が導入される見通し。
3GPPでは5G NRの最初の仕様を「3GPPリリース15」として公開する予定で、昨年末にはフェーズ1としてNSAの機能を含む初版策定を完了。今年6月には、5G単体で動作する「スタンドアロン=SA」の使徒用策定作業が完了する見込み。また19年には全ての技術性能要件に対応した5Gの仕様が「リリース16」として公開される予定になっている。
世界に目を向ければ、韓国では来月開催される平昌冬季五輪で、世界初の5G試験サービスがNSA構成で実施される。また米国では、まずは固定ワイヤレスサービスとして「プレ5G」のトライアルが行われており、今年後半には商用サービスが開始される予定。
一方、中国では最初からSA方式を採用する方針で、20年の商用サービス開始を目指している。