トップページ > 電波新聞拾い読み > 2017年9月6日

電波新聞拾い読み 2017年9月6日

6月の電子部品世界出荷9%増

 JEITAが発表した17年6月度の電子部品グローバル出荷額は、前年同月比8.7%増の3343億円となり、7カ月連続で前年同月比プラスとなった。海外スマホ向けや車載関連需要が好調に推移し、車載関連も堅調さが継続した。前年同月と比較した為替の円安も出荷が金額の押し上げに寄与した。
 6月度グローバル出荷の分類別では、「接続部品」が同14.6%増、「受動部品」が同12.6%増と2桁増となり、「変換部品」も同2.9%増とプラスを維持した。「その他の電子部品」は同1.1%減と微減となった。地域別では、「アジア・その他」が同16.5%増と高い伸びとなったのをはじめ、全地域で前年同月を上回った。
 製品別ではコネクタが同23%増、コンデンサが同15%増、抵抗器が同12%増などと高い伸びとなっている。
 足元の電子部品需要は、産機関連需要の好調さが顕著。サーボモーターやロボット、半導体製造装置などのFA制御/製造装置関連需要の増大が、関連部品需要を大きく押し上げている。スマホ向けも、米アップルや韓国サムスン電子向けの需要が好調に推移し、今年前半はやや低調だった中国系スマホ向け需要も回復基調となっている。車載関連は、北米向けがやや軟化しているものの、欧州や中国、日本市場の好調がグローバル需要の堅調さを支えている。
 6月度の電子部品国内出荷額は前年同月比6.5%増の788億円となり、10カ月連続で前年同月比プラスとなった。国内産機向け需要の好調な拡大などが国内部品需要の増大をけん引している。


人型ロボット、未来技術遺産に

 国立科学博物館は5日、今年度の「未来技術遺産」(重要科学技術史資料)に、03年に製作された人間型ロボット「HRP-2 PROMET(プロメテ)」を新たに登録すると発表した。未来技術遺産で製作年が最も新しい登録品となる。
 プロメテは川田工業と産業技術総合研究所などが製作。転倒しても自力で起き上がり、荒れた地面を歩くこともできる。同博物館は、人と一緒に働ける人間型ロボットの開発で技術発展上の原点に位置付けられると評価した。
 このほか、富士フイルムが1989年に製造し、色の再現性が高い写真フィルム「フジカラーREALA(リアラ)」や、ソニーが90年に製造した最初期のハイビジョンテレビ「KW-3600HD」など14年も登録。2008年度に始まった未来技術遺産は計240件となった。


特集 業務用無線

 デジタル化が進み、業務用無線機の評価が高くなっている。台風、豪雨、豪雪、竜巻、地震、噴火などの自然災害や遭難事故で携帯電話が通じない状況下でも、情報ライフラインとして活用できることが広く知られたのが追い風。デジタル通信方式への移行も進み、データ通信やネット連動も可能になった。
 業務用無線には「特定小電力無線」「簡易無線」「小エリア通信システム」「一般業務用無線」「MCA無線」の5種類がある。
 特定小電力無線は無線従事者の免許も無線局の免許も不要で、最も簡便なもの。価格も安い。買ったその場で使えるトランシーバで、家電量販店のラジオ売り場などにコーナーが設けられて販売されている。
 簡易無線は、デジタル化製品が発売されて急成長している。「陸上移動局」とされている携帯電話に次ぐ局数がある。出力は5W以下に強化され、実用性が高い。22年11月30日には従来使用されているアナログ方式の簡易無線機器が使えなくなる。
 利用面では無線従事者の免許が不要。高所や上空での使用、データ通信もできる。イベント用などに随時使用が可能な無線機のレンタルも認可された。ネットでもレンタルをアピールする店が増えた。IP網を使って電波到達範囲外とも通信可能で、GPSによる位置確認やセンサーからのデータ転送もでき、仕事にもレジャーにも使える。
 小エリア通信システムは、特定小電力無線と簡易無線の中間の通信性能がある。
 一般業務用無線は公共的な無線通信用に許可される。警察、消防、電気、ガスや交通などで利用。タクシーや警備会社、放送局などの企業にも通信目的限定で個別免許されている。
 MCA無線は全国11の移動無線センターが配置している通信制御局を利用して通信ができる方式。中継局に発電機が備えられ、災害に強い通信ネットと評価されている。昨年9月からドコモのLTEと3Gとの連動サービスをはじめ、サービスエリアを拡大し注目されている。
 トランシーバと呼ばれる業務用無線機は、ホテルや娯楽施設などサービス業や病院、販売店、企業、向上、建設現場などでよく見かける。専門店では申請手続きなどの指導も行っており、企業や自治体規模の安全・安心インフラ構築目的の利用が増加している。
 携帯電話は番号を押さないと通話できないが、送信ボタンを押すだけで電波が発信される。音声を感知して自動送信する装置も用意されており、ヘッドセットと呼ばれるヘッドホンマイクを利用すれば手放しでも通話ができる。
 同時に多数の複数局に情報伝達できる同報通信も、一般の携帯電話にはない機能で好評。
 国に定められた特定の周波数を利用しているため、電波到達エリア内では安定した通信を維持でき、通話の秘密も高くなったのも企業や自治体などで好評。導入や運用コストが低く抑えられることも評価が高い。
 業務用無線機のIoT版と言えるような、IPネットワーク上で利用できるトランシーバも登場した。無線LANを利用するため、無線トランシーバでは電波の届かない別の階や部屋でもLAN環境を通じて通話でき、遠隔拠点ともつながる点が好評。
 4G LTEを使って日本中と通話ができる製品も注目されている。トランシーバならではの同報性と、送信ボタン操作だけで送話ができる速報性を携帯電話網で実現した製品。この製品も無線LAN利用の製品も通信拡張ユニットを導入すると、特定小電力トランシーバとも相互に通話できるようになる。
 従来、活用されていた工事現場やパチンコパーラーなどのほかにも、飲食店、娯楽施設、ホテル、大型販売店に導入されている。その背景には、トランシーバ本体や専用イヤホンが小型化され、見る人に違和感を持たせない洗練されたデザインの製品が増えたこともある。
 車載や基地局用にデザインされた製品には、操作機能を組み込んだマイクも用意されている。
 専門店では企業や自治体などに安全・安心のコミュニケーションインフラとして申請手続きの支援なども行い、積極的に拡販している。簡易無線のレンタルに注力する店も多い。
 簡易無線や特定小電力対応の無線機は仕事にもレジャーにも使えるため、行事やレクリェーションを円滑運営する目的で使う事例も増えている。
 デジタル通信方式の普及で、業務用無線機は社会に欠かせないコミュニケーションツールとして認知され、堅調な伸びを示している期待の製品群である。


電波新聞拾い読み 2017年9月6日